採用サイトの「求める人物像」が、現場のエースとズレている問題
以前、ある会社で採用の打ち合わせをしていた時のことです。
社長に「どんな人に来てほしいですか?」と尋ねてみました。
すると社長は、待ってましたとばかりに、迷うことなく答えてくださいました。
「素直で協調性があって、コミュニケーション能力が高くて、向上心があって、自発的に動ける人」
なるほど、実に立派。
完璧な優等生です。
でも、私は意地悪ですから、続けてこう聞いてみました。
「ちなみに社長、今、御社で一番成果を出して活躍している社員さんは、どんな方ですか?」
すると、一瞬の沈黙。
「・・・いやぁ、あいつはちょっと変わってましてね」(笑)
苦笑いしながら教えてくれたそのエース社員の話が、実に面白いのです。
口数は少ない。 協調性があるかと言われれば、むしろ一匹狼。 愛想も決して良くはない。
でも、誰よりも営業の数字を叩き出し、お客様からの信頼は圧倒的に厚い。
社内でも「あいつに任せておけば間違いない」と誰もが頼りにしている。
お気づきでしょうか。
最初に社長が熱弁していた「理想の人物像」と、現実の社内で大活躍しているエースの姿が、まるで正反対なのです。
実はこれ、採用の現場ではちっとも珍しい話ではありません。
社長は、頭の中で「こうあってほしい理想」を描きます。
一方で現場は、シビアに「結果を出すための現実」を生きています。
この二つが最初から綺麗に揃っていることの方が、むしろ稀なのかもしれません。
恐ろしいのは、多くの採用サイトが、この「社長の頭の中の理想だけ」で作られてしまうことです。
そうなると、何が起きるか。
サイトの言葉に惹かれて、社長好みの「お行儀の良い、でも現場では動けない人」ばかりが応募してくる。
逆に、本当にその会社で化ける可能性を持った尖った人材が、「自分には合わない会社だな」と、エントリーすらしてくれなくなる。
これは募集の失敗ではありません。 完全に「設計の失敗」です。
だからこそ、私たちは「求める人物像」を文字にする前に、現場で汗をかいている社員へのインタビューを徹底的に行います。
なぜ、彼は成果を出せているのか。
日々、何を大事にして顧客と向き合っているのか。
どんな瞬間に、この仕事のプライドを感じているのか。
そこを深く掘り下げていくと、一見バラバラに見える現場の中に、その会社独自の「泥臭い共通項」がポロリと見つかります。それこそが、本当に引き寄せるべき人の輪郭です。
採用ペルソナは、理想の絵の具で描くものではありません。
目の前にある、現実の泥の中から見つけるものです。
会社を本当に救ってくれる人材は、社長の頭の中ではなく、今日も現場で汗を流しているエース社員の中にこそ、隠れているのです。
ガイド第3章 「採れる採用サイトをつくる設計の全体像」
FAQ
「求める人物像は経営者だけで決めても良いのですか?」
「活躍している社員にはどのような共通点がありますか?」
「社長と社員で会社の魅力が違うのはなぜですか?」
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール