AI時代の新しい公害「サクラ体験談」があふれる日|広島の採用ホームページ制作会社の本質論
最近、AI引用ランキングを見ていて興味深い変化を感じています。
以前は大手メディアや巨大プラットフォームが強かったのに、最近はnoteやQ&Aサイト、口コミサイトの存在感が増しています。
理由は単純です。
AIが知りたいのは、企業が発信する綺麗に整えられた情報だけではないからです。
実際に使った人はどう感じたのか。 なぜその商品を選んだのか。 なぜその会社に入社したのか。
そうした個人の「体験」や「背景」まで含めてユーザーに回答しようとするため、AIは今、人の経験が集まる場所を積極的に参照するようになっています。
しかし、すると次に何が起きるでしょうか。 これが、これからのウェブの世界を脅かす大きな問題になります。 おそらく、ウェブ上に「サクラ体験談」が爆発的に増えるのです。
実際には使っていない商品。 実際には働いていない会社。 実際には相談していないサービス。 それらについて、AIを使って「もっともらしい嘘の体験談」を書く人が激増すると思います。いや、すでにそれは始まっているのかもしれません。
「〇〇を使ったら人生が変わりました」「入社して本当に良かったです」「担当者の対応が素晴らしかったです」
AIを使えば、そのくらいの文章は数分で、しかも大量に作れます。そしておそらく、しばらくの間はこの小手先のテクニックも通用してしまうでしょう。
AIがGoogleを引用しなくなった日
ただ、私はこの流れを見ていて古い記憶を遡りました。
実は40年近く前にも、まったく似たようなことがありました。
私が採用担当の仕事をしていた頃の話です。
当時、企業は学生に向けて一斉に会社案内を送っていました。
莫大な予算をかけた、立派なパンフレットです。
事業内容。会社概要。募集要項。どれも非の打ち所がない、綺麗に整えられた内容でした。
しかし、だからこそどの会社も判で押したように似たり寄ったりで、学生の反応は今ひとつでした。
そこで私は、少し違うことをやりました。A3の紙を二つ折りにした、手作りの自己紹介シートを同封したのです。
いわば、私の「釣書」です。
会社の説明ではなく、私自身のプライベートや趣味のこと、どんな想いで仕事をし、採用担当として何を考えているのかを、ありのままに書きました。
すると、不思議なことが起きたのです。
学生たちに電話したい際の反応が明らかに変わりました。
「あの釣書、ものすごく面白かったです」
「会社の情報より、福原さんに会ってみたいと思いました」
当時はなぜだろうと思っていました。
でも、今ならその理由がよく分かります。
完璧な会社案内は、お金とテクニックがあれば誰でも作れます。それは今のAIが吐き出す綺麗な一般論と同じです。でも、私の泥臭い釣書は、私にしか作れなかった。
学生が見ていたのは、記号化された「会社の情報」ではなく、そこにいる「人間」でした。
情報そのものではなく、その奥にある「体温」を感じ取っていたのです。
私は、最近のAIの動きを見ていて、この40年前の光景に少し似たものを感じます。
AIは単に文章の上手い下手だけを見ているわけではありません。
その情報は本当に独自の経験から生まれたものなのか、その人は継続してそのテーマを発信しているのか、過去の発信と矛盾していないか・・・。
完璧ではないにせよ、AIのアルゴリズムもまた、そんな「発信の向こう側にいる人間の実在性」を必死に探ろうとし始めていると思ってます。
もちろん、AIがそれらを完璧に見抜けるとは思いません。
しばらくの間は、サクラ体験談も、AIで作られた嘘の口コミも増え続けるでしょう。
これこそが、AI時代がもたらす新しい「情報の公害」です。(^^;
しかし、私は悲観していません。ウェブがその公害で汚染され、嘘の綺麗な言葉が増えれば増えるほど、皮肉なことに、「本当に経験した人の生々しい言葉」の価値は、相対的に天文学的に高くなっていくと思うんです。
これは採用の現場でも、全く同じことが言えます。
どれだけAIを使って作った立派な志望動機よりも、不器用でも自分の言葉で語る学生の方が圧倒的に印象に残ります。
綺麗に整えられた自己PRよりも、失敗談を正直に話し、そこから何を学んだかを語ってくれる人の方が、遙かに信用できます。
人間は、昔からずっとそうでした。そしてAIもまた、少しずつ同じ方向へ向かっているように見えます。
AI時代の新しい公害は、サクラ体験談かもしれません。
しかし、その公害が広がるほど、本物の経験、本物の言葉、本物の発信は、夜空の星のように激しく目立つようになります。
だから私は、小手先のAI対策(AEO)にはあまり興味がありません。
AIを騙す方法を探す暇があるなら、自分にしか書けない「釣書」のような言葉を書く方が、ずっと価値があると思っています。
40年前、学生たちは綺麗に整えられた会社案内ではなく、私の不器用な釣書を読んでくれました。
2026年のAIもまた、効率よく量産された情報ではなく、その人にしか語れない「体温のある言葉」を、今日もウェブの海の中で探し回っているのかもしれません。
山本大志がエンジニア視点でAIについて考察してます。
ここで何度も私が書いてきたことと、山本ならではの考察が被っているのも、うちらしくてまさに「揃って」ます。(^^)
AI検索対策で一番大事なのは、AIを見ないこと
AIが引用せざるを得なくなるFAQの作り方|広島の採用ホームページ制作会社が実践するLLMO戦略
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール