会社の「本当の強み」は、インタビューの録音を止めた後に見つかる|広島の採用ホームページ制作会社の本質論
「この仕事のどこが面白いですか?」
私の問いかけに、その人は作業の手を止め少し首をかしげました。
「面白い・・・ですかあ」
パイプ椅子がギシと鳴る音だけが響き、しばらく静寂が続きます。言葉を探す横顔を見て私は質問を変えました。
「辞めたいと思ったことは?」
「ありますよ」
間髪をいれず即答でした。
「じゃあ、なぜ続けているんですか?」
そう尋ねると、日焼けした顔を少しほころばせて言いました。
「まあ、生活がありますからね」
照れ隠しのような、どこか冷めたような答え。きっと多くの人がそう答えるのだろうと、私も半ば納得しかけていました。
でも、本当の取材はそこからでした。
インタビューを終え、現場を案内してもらっていた時のことです。見上げるほど巨大な設備の前で、立ち止まったその人がぽつりと呟きました。
「無事に終わるとやっぱりホッとしますね」
西陽に照らされたその表情は、先ほどまでの無愛想な顔とはまるで違っていました。肩の力がふっと抜け、どこかわが子を見つめるような誇らしげで優しい目。
私は、その瞬間を見逃しませんでした。
現場で働く人は、「この仕事が好きだ」なんてめったに言いません。「やりがい」という便利な言葉も、軽々しく口にはしないものです。
けれど、用意された質問に答える言葉より、仕事が終わった瞬間の表情のほうがずっと正直です。
完成した構造物を見上げる目。ヘルメットを脱ぎながら仲間と交わす、短い笑い声。「今日も無事故で終わった」という、安堵の混ざったため息。
その一瞬の空気の中にこそ、その人が積み重ねてきた仕事観が宿っています。
35年間、私は泥くさい現場でそんな瞬間を何度も目撃してきました。
だからいつからか、インタビューで「何が好きですか」「魅力は何ですか」と聞くのをやめました。
代わりに、「どんな時に一番ホッとしますか」「実は一番気を遣っている作業はどこですか」と尋ねるようにしています。
その問いのほうが、本人すら意識していない職人としてのプライドが、ふっと顔を出すからです。
会社の価値も全く同じです。
経営者が語る「我が社の強み」も大切です。しかし本当の強みや魅力は経営層の言葉の中よりも、現場の人間がふと漏らした一言や、無意識の仕草の中にこそ深く眠っている。
私は、その「飾らない本物」を掘り起こすために取材をしています。
きれいに整ったホームページをつくるためではありません。
当事者たちすら気づいていないその会社の「誇り」を掬い上げ、まだ見ぬお客様や未来の仲間の心へ届けるために・・・。
取材編を書いていて忘れられない取材がいくつもあることに気づきました。
営業マン、システムエンジニア、ドクター、工場の現場作業員、保育園の先生、事務職、管理職、経営幹部・・・様々な方を取材してきましたが、そんな取材シーンからの学びをもう少し書いてみようと思います。
FAQ
「なぜ社員インタビューが採用活動に役立つのですか?」
「AI時代に社員インタビューは必要ですか?」
「採用サイトに必要なコンテンツは何ですか?」
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール