社長が気付いていない会社の強みは、だいたい社員が知っている
これまで、いったい何百人の社員インタビューをしてきたでしょうか。
社長は、自分の会社を説明できない でも書きました。
その現場で、毎回のように、まるで判で押したように感じることがあります。
それは、「自社の強みを一番理解していないのは、意外にも社長自身だったりする」ということです。
先日もある会社で、社長にこんな質問を投げかけてみました。
「なぜ、社員さんは10年、20年とここで頑張り続けてくれているんでしょうね?」
社長は少し考えて、「なんででしょうねぇ......」と首を傾げられました。
もちろん、謙遜もあるのだと思います。
ただ、この反応は決して珍しくありません。
むしろ、長く泥臭く経営を続けてこられた方ほど、自社の魅力を「空気」のように当たり前だと思い込みすぎていて、言葉にできなくなっていることが多いのです。
だから私は、社員の皆さんのところへ行き、じっくりと話を聞きます。デプスインタビュー、つまり本音の深掘りです。
そうすると、実に面白いことが起きます。
社長が「うちの弱みだ」と頭を抱えていることを、社員は「そこが魅力なんです」と笑顔で語り始めるのです。
ある会社で、社員の口からこんな言葉が出てきました。
「良くも悪くも、自由な会社なんですよ」
経営者の視点から見れば、それは「組織として未成熟な状態」に映るかもしれません。
ルールが曖昧。
現場ごとにやり方が違う。
会社全体の方向性が見えにくい。
要するに、属人化している。
社長は、そんな「改善すべき課題」ばかりに目が向いてしまいます
ところが、現場の受け止め方はまるで違いました
「チャレンジさせてくれる会社です」
「正解が一つではないから、自分で考えさせてもらえます」
彼らは、その自由さを「信頼」と受け止めていたのです
もちろん、組織としての課題はあります。
ただ、社員が感じている「働く価値」は、経営者が思い込んでいる価値とは、全く違う場所に存在していることがあります。
逆のケースもよくあります。
社長が夜も眠れずに悩み、苦労して導入した最先端の制度について聞いても、社員はほとんど触れもしません。
フレックスタイム、評価制度、福利厚生
経営側は「これで働きやすくなっただろう」と一生懸命に制度(How)を整えたつもりでも、社員にとっては導入された瞬間から、それはただの「当たり前」になってしまうのです
それよりも、彼らの記憶に強く残っているのは別のことでした。
「困ったときに、下の意見をちゃんと拾ってくれる」
「トップダウンではなく、最後まで任せてもらえる」
今の若手や求職者が求めているのは、綺麗な「制度(How)」ではありません。
「なぜ、私はこの会社で働くのか」という、手触りのある「意味(Why)」なのです。
それを受けて
「制度設計のフェーズは完了とともに終了したと考えます」
「これからは制度設計から、意味設計に取り組むフェーズです」
と社長にお伝えしました。HowからWhyへのフェーズチェンジです。
私は、採用サイトの制作に入る前、何をおいてもまず社員の皆さんのリアルな声を聞きます。
採用サイトに載せるべきなのは、経営者が「伝えたいこと」だけではないからです。
求職者は会社案内を見に来ているわけではありません。自分がその会社で働く姿を想像しに来ています。
どんなことにやりがいを感じ、なぜ辞めずに働き続け、何に誇りを持っているのか。
そこにしか、その会社の「らしさ」は隠れていません。
採用活動がうまくいかないと嘆く中小企業の多くは、魅力がないのではありません。
自社の魅力の「ありか」に、まだ気付いていないだけなのです。
正式な宝物は、社長室のデスクや、会議室のホワイトボードの前でウンウン唸っていても、絶対に見つかりません。 現場に足を運び、社員の話を聞き、経営者と現場のすれ違いを丁寧に「マッピング」して、一緒に言葉を揃えていくことで、初めて輪郭を現します
(社員デプスインタビューから導く経営者と現場の認識ギャップのマッピング分析図)
会社の強みは、立派な経営計画書の中よりも、社員の何気ない一言の中にこそ隠れているものだと思います。
採用とは、どこかから新しい魅力を無理やり作ってくることではありません。
すでに足元に存在している魅力を見つけ、経営者と現場の認識を「揃え」、伝わる形にすることです。
だから私は、採用サイトを作る前に社員に話を聞きます。
経営者の言葉だけで会社を語るのではなく、社員の言葉を通して会社の輪郭を確かめるためです。
採用サイトとは、会社をよく見せるためのものではなく、会社の本当の姿を、求職者に伝わる形に整えるものだと思うのです。
【公式noteにて詳細公開中】
「なんでうちが選ばれているんでしょうね」実は、この言葉を社長さんから聞くことは少なくありません。
でも社員さんに話を聞くと、その理由が次々と出てくるんです。
長く続けていることほど、自分たちでは当たり前になってしまう。だからこそ、自社の価値は案外自分たちが一番見えていないのかもしれません。
私が経営者インタビューで大切にしていることを、公式noteに書きました。
➔ noteを読む:社長が「うちの弱み」だと頭を抱える場所で、社員は笑っていた
FAQ
社長と社員で会社の魅力が違うのはなぜですか?
なぜ社員インタビューが採用活動に役立つのですか?
なぜカンドウコーポレーションは言語化を重視するのですか?
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール