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ボス・・・書く・・・徒然

福原勘二(カンドウコーポレーション代表)のコラム

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キャンプ場に着いてから、考えることもある

キャンプに行く前には、それなりに時間をかけて準備をします。
天気予報を確認し、予想気温や風の強さを調べる。
キャンプ場のサイトを見ながら「どんなフィールドだろう」と想像を膨らませる。
持っていくテントを吟味しタープを張るかどうかを決め、「今回は焚き火でこんな料理をしよう」といったおおまかなイメージを頭の中に描いてから出かけます。

何度か訪れたことのある慣れたキャンプ場なら、その見立てが大きく外れることはありません。

「あそこなら、あのテントでぴったりだな」
「あの位置に設営すれば、夕方はこんな風に西陽が差すはずだ」

ある程度、頭の中で現地での時間が思い浮かびます。
けれど、初めて行くキャンプ場ではそうはいきません。だいたい、事前に考えていた通りにはいかないものです。(笑)

出発前に何度も天気予報を確認し、「今日は大丈夫だろう」と意気込んで出かけたのに、着いてみると現地には結構な風が吹いている。
「今日はタープを張ってゆっくり過ごそう」と思って必要なポールやタープ下に設置するギアを揃えてきたのに、フィールドに立ち、肌で風を感じた瞬間に「これは無理だな」と判断してタープを諦めることがあります。
せっかく道具を持ってきたからといって、強風の中で無理に張る必要はありません。

晴れマークが並んでいたのに途中からパラパラと雨が降り始めることもあれば、逆に雨を覚悟していたのに拍子抜けするほど降らないこともある。
焚き火料理をする気満々で食材まで用意してきたのに、あまりの風の強さに「よし、今日の焚き火はやめよう」とメニューを変更することもあります。
万全に準備したものが、そのまま予定通り使えるとは限らないのです。

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フィールドの様子そのものも、実際に足を踏み入れてみなければ分かりません。
写真では平らに見えていたサイトが、歩いてみると微妙に傾斜している。
ほんのわずかな傾斜に見えても、そこで一晩寝るとなると話は別です。
頭が下がる向きで寝てしまうと、翌朝かなり骨が折れます。

地面の硬さや水はけの状態、そして太陽の位置も確かめます。
西陽がどちらから入ってくるか。夕方、どこに陽が沈むか。景色はどちらに向かって開けているか。風はどの方向から吹き抜けていくか。
それらを一つひとつ観察しながら、「この向きだな」「いや、もう少しこちらへ寄せよう」と現地で調整していく。
事前に入念につくりあげてきた頭の中の完成図を、現場で一度ゼロに壊すことなんて日常茶飯事です。
けれど、キャンプ場に着いてからその場で考える。私は、このプロセスが案外好きなのです。

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だからといって、「事前の計画なんて意味がない」と言いたいわけではありません。
むしろ逆です。
天気も、現地の環境も、持っていくギアも徹底的に考え抜き、準備はかなり入念にします。
ただ、「準備した計画通りに実行すること」そのものを目的にしない。
ここがとても大切なポイントだと思っています。

現場に着いて、風が違う。地面が違う。太陽の入り方が違う。だったら、その場で柔軟に変えればいい。
持ってきたギアを全部使わなくてもいいし、予定していた段取りをあっさり手放してもいい。

「せっかく準備したのだから」という執着よりも、いま目の前にあるフィールドのリアルを優先する。
そんなことを考えながらテントの向きを微調整していたら、またいつの間にか仕事の話へと繋がっていました。

企業のホームページをつくる前にも、もちろん徹底的な準備を行います。
現在のサイトを分析し、会社案内を読み込み、競合他社や業界の動向を調べる。
採用サイトであれば、求人情報や雇用条件もしっかり頭に入れます。
その上で、「この会社の魅力はここにあるはずだ」という仮説を持ち、意気揚々と取材へ向かいます。
けれど、実際にその会社へ一歩足を踏み入れると、用意してきた仮説が呆気なくひっくり返ることがあります。

社長と向き合って話し、社員さんたちと膝を交える。
現場を歩き、作業の現場を見せてもらう。
社員同士がふと交わす言葉や、その場の空気を肌で感じる。
そして、本題とは一見関係のない「雑談」にじっくり耳を傾けてみる。

すると、「あれ? この会社の本当の面白さや魅力って、事前に考えていたことじゃなくてこっちなんじゃないか?」という瞬間が訪れます。
あらかじめ用意してきた質問項目にはなかった話。
パンフレットのどこにも書かれていない話。
経営者ご本人すら「こんなの別に強みじゃないですよ」と見過ごしていた話。
そんな宝物のようなストーリーが、現場にはたくさん転がっています。

私たちもプロですから、当然、取材の前にはしっかりと企画を立てます。
サイトマップを描き、構成案をつくり、「この会社ならこういう切り口でいこう」という仮説を持って取材に臨みます。
けれど、現場で話を聞いてみたら違った。
だったら、潔く企画を変えればいいのです。

「せっかく時間をかけて企画書をつくったのだから」

と、目の前の現場を最初の案に無理やり当てはめる必要はありません。

キャンプ場にタープを持ってきたからといって、強風の中で無理やり設営する必要がないのと同じです。
焚き火料理の準備をしてきたからといって、風が吹き荒れる日に危険を冒してまで火を起す必要もない。
計画に現場を無理やり合わせるのではなく、目の前の現場を見て計画の方を柔軟に変えていく。
仕事においても、それが一番自然で誠実な姿だと思うのです。

最近、私は「一次情報」という言葉をよく使います。
けれど一次情報というのは、取材に行けばあらかじめ決まった形で手に入るような都合の良いものではありません。

「御社の強みを三つ教えてください」

と質問し、綺麗に整理された答えを三つメモに書いて終わり、ではないのです。

むしろ取材が終わった後の何気ない雑談や、工場の隅に置いてある見慣れない機械を見て「これ、何ですか?」と尋ねたところから、その会社にしか語れない唯一無二の物語が始まったりします。
社員さんがふと漏らした一言が、それまで考えていたサイト全体の方向性をガラリと変えてしまうことだってあります。

それは、会社案内を何時間読み込んでも分からないことです。
AIにどれだけ巧みな指示を出して訊ねても、絶対に答えてはくれません。
実際にその場所へ行き、自分の目で見て、直接話を聞いた人間にしか触れられない「生の事実」なのです。

事前に考えることはもちろん大切です。
仕事でもキャンプでも、準備は怠らない方がいい。
けれど人間は、準備を重ねれば重ねるほど「その通りにやり遂げたい」という執着が生まれる生き物でもあります。
せっかく準備してきたから。
せっかく時間をかけて考えたから。
せっかく丁寧に企画書へ書いたから。

しかし、いま目の前には、いま目の前の風が吹いています。
予報では微風だったとしてもいま現場で強く吹いているなら、それが「事実」です。
晴れ予報だったとしても、いま雨が降っているなら、それが「リアル」です。
目の前の事実の方が、事前に集めたどんな情報よりもずっと強い力を持っています。

キャンプ場に着いてから、一から考え直すこともある。
会社を訪れて現場を見てから、それまでの企みを軽やかに捨てて考え直すこともある。
あらかじめ立てた計画に縛られず、現場のリアルに合わせて自分の思考をしなやかに変化させられること。
それこそが、プロとしての経験であり、醍醐味なのだと思います。

だから私は、思い通りにならない初めてのキャンプ場に行くのが嫌いではありません。
事前の見込み通りにいかないからこそ、そこには思わぬ面白さが待っている。
・・・きっと私の仕事も、まったく同じなのです。

以下、キャンプからのビジネスネタです。(笑)
で、もうょっとキャンプとビジネス、そんなネタが続きます。

「一泊二日のために、そこまでやる?」
「新品のキャンプギアが、ちょっと恥ずかしい」
「不便を楽しむために、便利なギアを買っている」

EDITOR 福原 勘二 代表取締役会長兼CEO
(最高経営責任者)
エグゼクティブ・ビジネスデザイナー 兼ストラテジックパートナー

1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。

福原 勘二のプロフィール
082-509-3322 9:30 - 18:30

まず、「誰が嬉しいのか?」を
一緒に考えることから始めます。

表面的な症状ではなく、その奥にある構造から一緒に考えます。
Web・デザイン・言語化・伴走。手段はその後についてきます。

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