効率主義の時代に、わざわざクルマを走らせる理由
Zoomミーティングが苦手です。
いや、Zoomそのものが嫌いなわけではありません。コロナ禍のときは、本当にお世話になりました。あの時期は人に会いに行くこと自体が難しかったですし、当時のクライアントとのミーティングも取材もほとんどがZoomでした。
用件を伝え合うだけなら、何の問題もありません。画面を共有して資料を見せながら説明できるし、移動時間もゼロ。お互いにとって、これ以上なく効率のいい方法です。
それでもどうも私は苦手なのです。(^^;
なぜだろうと考えてみると、たぶん「雑談」がないからなのだと思います。
対面でお会いすると、いきなり本題には入りません。「いやあ、今日は暑いですね」とか、「ここまで来る途中、道が混んでましてね」とか、本当にどうでもいい話から始まります。
会社のエントランスに飾ってあるものが気になって、「これ、何ですか?」と聞くこともあるし、社長の机の上のものから話が広がることもあります。
そんな世間話を挟みながら、少しずつ本題へ入っていく。
ところがZoomだとそれがどうしても少ない。「では時間になりましたので、始めましょう」いきなり本題です。
用件が終われば、
「では、今日はこれで」
「ありがとうございました」
「お疲れさまでした」
はい、終了。
もちろん、それで仕事は成立します。でも私は、世間話や雑談の中にこそ、仕事のヒントがたくさん転がっていると思っている人間です。
ホームページをつくるときも、採用サイトをつくるときも、最初から「御社の強みは何ですか?」なんて聞いて、すぐに面白い答えが返ってくることなんて、まずありません。
むしろ、本題から少し外れた雑談をしているときに、「えっ、それって面白いですね」という話がポロッと出てきます。
ご本人たちにとっては毎日やっていることだから、特別だとも思っていません。社長にとっても当たり前、社員さんにとっても当たり前。でも外から見ると、そこにその会社らしさがあったり、他社との決定的な違いがあったり、お客様から選ばれている本当の理由があったりするのです。
私はそういう話を拾いたいんです。だからコロナが明けた今でもZoomを希望されるクライアントはいらっしゃいますが、できるだけ「お伺いさせてください」とお願いするようにしています。
先日も、あるクライアントからホームページ制作のプロポーザルのオリエンを受けました。オリエンというのは、案件の目的やターゲット、予算、スケジュールなどの基本方針をすり合わせる大切な場です。
もちろん、訪問しました。オリエンそのものは1時間ほどです。
そのあと、しっかり時間をかけて提案書をつくりました。提案書ですから、メールで送ることもできます。細かい補足が必要なら、Zoomでも十分に対応できるでしょう。
それでも私はまたお願いしました。「お伺いさせてください」って。
クルマで往復3時間ちょっと。プレゼン自体は1時間ちょっとです。
効率だけを考えたら、どう考えてもZoomのほうがいいに決まっています。それでも、私は会いに行きました。
目の前で提案書を開いて、自分の言葉で説明したかった。相手がどこで頷いてくれるのか。どのあたりで表情が変わるのか。どのページで質問が出るのか。そして、こちらが話している途中で、ふと思い出したようにポツリと本音を話してくださることもあるからです。
画面越しでも、見えるものはあります。でも、同じ空気を吸い、同じ場所にいるからこそ伝わるもの、感じ取れるものも、やっぱり確実にあると思うんです。
結果として、その仕事は受注させていただきました。(^^)
「Face to Faceだったから受注できた」とまで言うつもりはありません。提案の内容をしっかり評価していただいたことが一番の理由だと思っています。
でも、こちらがどれくらいその会社のことを考え、どれくらいこの仕事を本気でやりたいと思っているのか。その「熱」のようなものは、画面越しよりも目の前で直接話したからこそ、少しは伝わったのではないかと思っています。
「福原様の熱量を非常に感じたとこ
往復3時間かけて、1時間話す。効率がいいかと聞かれたら・・・たぶん最悪です。(^^;
でも、仕事って効率だけじゃないんですよね。雑談の中から見つかること。相手の表情から肌で感じること。その場の空気感でわかること。そして、目の前にいるからこそ伝わる温度。
AIを毎日使い倒し、オンラインで何でも完結できるようになった今だからこそ、私はそういうアナログなものを以前よりずっと大切にするようになりました。
だからこれからも、行けるところなら会いに行こうと思っています。それがたとえ往復3時間かかろうとも、4時間かかろうとも。
たぶん私は、どこまでいってもFace ta Faceで仕事をするのが好きな人間なんだと思います。
現場主義を標榜してますしね。(^^)
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1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール