アガベを育てながら、人を育てることを考えた
キャンプとビジネスという異色の組み合わせでコラムを書き始めたら、止まらなくなりました。(^^ゞ
もう少し続ける予定ですが、今回はもう一つの私の趣味、アガベの育成について、です。
最初は単純に、あの無骨な姿が格好いいと思っただけでした。それが一鉢、二鉢と増えていき、気がつけば育成ライトを当て、風を送り、水をやるタイミングを考え、毎日のように葉の状態を眺めています。ええ、毎日です。(笑)
アガベを育てていると面白いことに気づきます。
甘やかしすぎてもダメ。水をたっぷり与えて光が足りなければ、葉が間延びして徒長してしまう。だからといって、厳しく絞ればいいわけでもありません。
私は葉が短く締まった、いわゆるボール状(型)のアガベが好きなのですが、だからといって水を極端に切ればいいというものでもない。自分の好みの形にしたいからと無理をさせれば、当然、株は調子を崩します。
光もいる。水もいる。風もいる。しかも、同じ環境に置いていても同じようには育ちません。
サーキュレーターで常に風を当て、育成ライトで光を当ててます
最近、アガベを眺めながら「これって人材育成とよく似ているな」と思うようになりました。
カンドウコーポレーションの人材育成は、ある意味では放任主義です。細かく「あれをやれ」「これを覚えろ」とは、あまり言いません。
ただ、何も見ていないわけではありません。むしろ、その人が何を得意としているのか、何が苦手なのか、どんな仕事をしているときに力を発揮するのかは、かなり見ているつもりです。
基本的な考え方は、昔から変わりません。苦手なことを無理やり克服させるより、それを得意な誰かが補完すればいい。その代わり、自分が得意なことは思い切り伸ばしてほしい。全員を同じ形に育てる必要なんてないと思っています。
ただ、ここにはひとつ難しい問題があります。「好きなこと」と「得意なこと」は必ずしも同じではないからです。
うちに川邊柚佳
彼女はフロントエンドが大好物です。HTMLやCSSと向き合っているのが好きで、どうやらAIにソースを書かせるのは嫌いらしい。(笑)
できれば自分で手打ちしたい。今の時代なかなか面白い存在です。
もちろんデザインもこなします。でも本人としては、デザインよりHTMLやCSSのほうが好きなんだと思います。
ところが、その川邊のデザインがいいのです。本人がどこまで自覚しているかは分かりませんが、少なくとも私は高く評価していますし、他のメンバーもそう感じています。
ここで考えるわけです。「本人が好きなことだけをやらせる」のが、本当の人材育成なのだろうか、と。
私は少し違うと思っています。好きなことで飯が食えれば、それが一番いい。でも、好きなことだけで飯が食えるとは限りません。反対に、本人にとっては「大好き」というほどではなくても、周囲やお客様から評価されしっかり価値を生み出せる武器を持っていることがあります。
だったら、それを伸ばさない手はありません。
川邊に「フロントエンドが好きなら、それだけやっていればいいよ」と言うのは簡単です。でも、それでは本人がまだ気づいていないかもしれない可能性に、こちらが蓋をしてしまうことになる。
だから、デザインもやってもらいます。別に純粋なデザイナーにしたいわけではありません。フロントエンドという本人が大好きな「幹」を大切にしながら、デザインというもう一本の「強い枝」も伸ばしておきたいのです。
アガベも同じです。
育てる側には、どうしても「こんな形にしたい」という欲が出ます。でも、本当に見るべきなのは自分の理想ではなく、目の前にある株そのものです。
天気のいい日はベランダで日光浴させますが、これがまためんどくさいんです(笑)
葉の色を見て、開き方を見て、成長点を見て、水を欲しがっているのか、光が強すぎないかを考える。同じチタノタ オアハカであっても、同じ環境で同じ姿に育つわけではありません。
下の写真をご覧ください。
同じ牛乳植物研究所のチタノタ オアハカですが、右が理想的なボール型ですが左は少し徒長しています。(^^;
買ったお店もプランツマン(植物の栽培に精通した情熱的な人)も同じ、購入時期が少しズレてるだけです。
同じように育てていても個体差も当然あり、一つは理想型、もう一つはちょっと残念って感じになってます。
人間ならなおさらです。
よく兄弟で同じように育ててつもりなのに・・・という話をよく耳にしますが、アガベも同じなんですね。
甘やかさせすぎてもいけない。厳しくしすぎてもいけない。光が足りなければ伸ばす方向を見失うし、水を切りすぎれば成長そのものが止まってしまう。そして何より、育てる側が自分の理想の形を押し付けすぎてはいけない。
その人が何を好きなのか。
何が得意なのか。
そしてもうひとつ・・・本人はそれほど自覚していなくても、周囲から評価されている強みは何なのか。
そこまで見つけ出して環境を整えるのが、人材育成なのかもしれません。
アガベは喋ってくれません。だから毎日観察します。メンバーは喋ってくれますが、自分が本当に持っている強みに自分で気づいているとは限りません。だからやっぱり観察します。
まさに「見る」よりも「観る」。
水をやることが育成ではない。
水を切ることが育成でもない。
その株、その人を見ながら、必要な環境をつくること。
35年会社をやってきて、いまだに人を育てる正解なんて分かりません。ただ、最近アガベを眺めながら思います。
育てるというのは、こちらが形を決めることではなくその人が本来持っている形を一緒に見つけることなのだ、と。
アガベ育成は簡単ではありません。一筋縄ではいかないことは多々あります。
でも・・・だから面白い。だから夢中になっているわけです。
人材育成も同じですね。(^^)
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール