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ボス・・・書く・・・徒然

福原勘二(カンドウコーポレーション代表)のコラム

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10年やっても、毎年一年生になる仕事|広島の採用ホームページ制作会社が紐解く人材獲得の本質

「10年経っても、毎年仕切り直しなんですよね」

採用サイトをつくるため、ある保育園で先生方の取材をしていたときのことです。
お話を聞いていたのは、保育士になって10年目になるベテランの先生でした。

10年。一般的な仕事で考えれば、一通りの業務を完璧にこなし、後輩を指導する立場になる「ベテラン」と呼ばれる時期です。
これまでのノウハウがある分仕事の進め方にも余裕が出てくるのだろう・・・私は勝手にそんなイメージを持っていました。

ところが、その先生から返ってきたのはまったく予想外の言葉でした。

例えば、去年3歳児のクラスを担当したとします。そして今年も、同じ3歳児のクラスを担当する。

「去年の指導案や経験があるから、今年は少し楽になりますね」と尋ねました。

けれど、先生は首を振って笑うのです。

「同じ3歳でも、目の前にいる子どもたちは去年とは全然違いますから。性格も、興味を持つものも、泣き出すタイミングも全員違う。去年うまくいったやり方が、今年目の前の子に通用するとは限らないんです」

だから、毎年クラスが変わるたびに「仕切り直し」。
去年の成功体験を一度手放して、また一から目の前の子どもたちと向き合うのだと。

「毎年仕切り直し」この言葉を聞いたとき、胸の奥がハッとするような感覚がありました。

経験を積むということは、効率の良い「正解のパターン」をたくさん覚えることだと思いがちです。
でも、本当にプロフェッショナルな経験の積み方とは、過去の正解に固執することではなく、「目の前の相手に合わせて、ゼロから考え続けられるようになること」なのかもしれません。

人を相手にする仕事に、決まったマニュアルはありません。昨日うまくいった接し方が、今日は通用しない。去年子どもを笑顔にできた言葉が、今年の子には響かない。

10年やってもまた頭を悩ませる。そして、新しいアプローチを試してみる。

そう考えると、保育士という仕事は10年やっても、20年やっても「毎年一年生になる仕事」なのだと思えてきます。

けれど、もちろん本当の一年生とは違います。その背中には、10年間悩み抜いた経験があります。失敗して悔しかった日、子どもが初めて心を開いて弾けたような笑顔を見せてくれた日、保護者の方と一緒に涙を流した日。

それらすべての引き出しを抱えたまま、まっさらな気持ちで「新しい一年生」になる。だからこそ、同じ一年生でも、去年とは深みがまったく違うのです。

私はメモを取りながら、「これはなんて格好よく、なんて素晴らしい仕事なのだろう」と心から感動していました。

そして取材を終えてオフィスに戻る道すがら、ふと考えたのです。

私の仕事も、まったく同じなのではないか・・・と。

私は35年間、会社案内やホームページ、採用サイトを作るために、何百もの会社へ足を運び、何千人もの人々の取材をしてきました。

「35年も取材をしていれば、さぞかし相手の本音を引き出すのが上手になったでしょう」と言われることもあります。確かに、質問の組み立て方やカメラの前での場の和ませ方など、技術的な「引き出し」は昔より増えたかもしれません。

でも、35年前と今で何一つ変わっていないことがあります。

それは、「今日、目の前に座っている人のことは、私はまだ何も知らない」ということです。

どれだけ取材の経験を積んでも、目の前の人の人生や、その現場で流れてきた汗の重み、仕事に対する静かな誇りは、直接話を聞いてみるまで分かりません。

「夏なんだから、暑いのは当たり前ですよ」
「営業は想像していたよりもずっと、ずっとしんどいです」
「10年やっても、毎年仕切り直しなんです」

こちらの安易な想像やパターン化された質問を、心地よく裏切る本音の言葉が返ってくる瞬間。その「生きた言葉」に出会えたとき、私は35年経った今でも胸が躍り、メモを取る手が震えるほど面白さを感じます。
私の取材メモの多くは「」で囲まれた取材相手の言葉が並んでます。

取材に「絶対に失敗しない正解」なんてありません。相手が変わればまた一から関係を築き、耳を傾けるだけです。

保育士さんの「毎年仕切り直しなんです」という言葉を思い返しながら、私は心の中で少し嬉しくなっていました。

10年やっても、毎年一年生。
35年やっても、毎回一年生。

心を通わせ人を相手にする仕事とは、案外そういうものなのかもしれません。

私はこれからもベテランのフリをして格好つけることなく、毎回「新人インタビューアー」のようなまっさらな気持ちで現場へ足を運びます。

働くご本人すら気づいていないその仕事の本当の価値や誇りを、一番近くで聞き届けるために。
それが、35年この道を歩んできた私の仕事です。

FAQ

なぜカンドウコーポレーションは取材を重視するのですか?
社長と社員で会社の魅力が違うのはなぜですか?
活躍している社員にはどのような共通点がありますか?

EDITOR 福原 勘二 代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者) エグゼクティブ・ビジネスデザイナー 兼ストラテジックパートナー

1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。

福原 勘二のプロフィール
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