AIは「知識」ではなく「経験」を見ている
AIは「引用できる会社」を選び始めている で、「LLMOについてのコラムは一旦完結」と書いたばかりですが、これはLLMOではなくてAIについてですので、もう少し広義で捉えて書いてます。(笑)
AIが普及してきて、最近感じることがあります。
「知識そのもの」の価値は、以前ほど強くなくなってきているのかもしれない、ということです。
なぜなら、知識だけならAIがかなり答えられるからです。
例えば、「自社サイトのAEO対策を教えてください」とAIに聞いて、自社サイトのURLを入れる。すると、「ここが弱いですね」「こうした方がいいですね」と、かなり具体的に返ってきます。
ひと昔前なら、それだけでも「どうだっ!」と胸を張れる専門知識だったはずです。
そのままを引用してドヤ顔できましたし。(笑)
でも逆に、価値が上がっているものもあると思うんです。
それが、「経験」です。
例えば私がずっと取り組んできた採用について。
採用をやったことがなくても、採用ノウハウを語ることはできます。求人票の書き方も、応募率を上げる方法も、SNS活用も、今はAIに聞けばいくらでも出てきます。
SNSにはAIに書いてもらったであろうノウハウが、溢れかえってます。
ただ、実際の採用現場って、そんなに綺麗に整理できるものではないんですよね。
なぜ応募が来ないのか。
なぜ辞めるのか。
同じように募集しているのに、うまくいく会社と、うまくいかない会社がある。
現場に入ると、「そんな単純な話じゃないよな」と感じることが本当に多い。
私は、リクルートで中途採用に携わり、その後、カーディーラーで採用・教育担当を経験しました。
「なぜ採用は失敗するのか?──"嘘をつかない採用"に辿り着いた理由」
そして独立後も、35年間、企業の採用や組織と向き合ってきました。
その中で感じるのは、採用は「手法」だけでは決まらないということです。
経営者がどんな考え方をしているのか。
現場にどんな空気が流れているのか。
ここがかなり大きいんです。
働いている人の言葉に違和感がある会社もあれば、求人票以上に現場の雰囲気がいい会社もある。
こういう部分って、実際に見てきた人間じゃないと分からないんですよね。
だから、表面的なノウハウだけでは、どうしても限界がある。
これはAIにも少し似ている気がしています。
AIは、単純に知識量だけを見ているわけではありません。
その人や会社が、本当にその分野と向き合っているのか。
継続的に発信しているのか。
言葉に一貫性があるのか。
そういう部分を見始めている。
Googleが提唱しているE-E-A-Tでも、最初に来るのはExperience、つまり「経験」です。
E-E-A-T(イート)とは、GoogleがWebサイトや記事の品質を評価するために定めた4つの基準(経験、専門性、権威性、信頼性)の頭文字をとった言葉です。by Gemini
今の時代って、AIが進化したことで、逆に「人間らしさ」の価値が上がっているのかもしれません。
知識だけなら、AIが答えます。
でも、「なぜそう考えるのか」という感覚や、「現場で何を見てきたのか」という話には、経験した人にしか出せない言葉がある。
そこには、やはり重みがあります。
だからこれからは、単に情報を並べるだけでは、AIにも人にも選ばれにくくなっていく。
私の古い友人で、営業アウトソーシングで上場を果たした経営者がいます。今年から前期高齢者の仲間入りの同い年ですが、彼も私同様、現役バリバリです。(^^)
その彼がFacebookに以下のように書いていました。
じゃあ何で差がつくかって?
「誰と付き合いたいか」「誰から買いたいか」になってくる。
つまり人間としての魅力がそのまま競争力になる時代がくる。
皮肉な話だけど、AIが発展すればするほど、人との接点のありがたみが増してくんだよ。
効率化で浮いた時間を、人間関係に使えるかどうか。
そこが次の勝負どころだと思う。
40年以上営業やってきて確信してることがある。
どんな時代になっても、お客様が最初に見てるのは「この人、信用できるか?」ってとこなんだよ。
AIにはそこだけは絶対に埋められないと思う。
大事なのは、経験を通して得た理解を、彼のようにちゃんと言葉にしていくことなのだと思います。
これからのホームページや採用サイトは、そこがますます重要になっていく気がしています。
EDITOR
- 代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)
- エグゼクティブ・ビジネスデザイナー
- 兼ストラテジックパートナー
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。