採用サイトは、求人票ではなく「判断材料」をつくる仕事です
採用サイトを作りたい、というご相談をいただいた時に、私たちが最初に確認することがあります。
募集職種は何か。給与はいくらか。勤務地や休日はどうなっているか。いわゆる募集要項の部分です。
ここはスルーしがちですが、求職者が必ず目にする部分ですので必ず確認してます。
求人票にも当然書く部分ですしてね。
ただ実際に求人票を見せていただくと、「なんと勿体無い書き方をされているんだろう」と歯がゆくなることが少なくありません。
たとえば「営業」とだけ一言書かれていても、それが飛び込み営業なのか、テレアポなのか、それともルート営業なのか、その一言だけでは求職者には何も分かりません。
もちろん、これらはすべて大切な情報です。求職者にとって条件は死活問題ですし、正確に載せるのは大前提。だからこそ、私たちは採用サイトを作る前に、まず求人票のチェックからお手伝いさせていただいています。
ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、「採用サイトの役割は、求人票をきれいにデザインすることではない」ということです。
採用サイトの本質は、求職者が「この会社は本当に自分に合っているか」を確かめるための、生きた「判断材料」をつくることにあります。ここを履き違えてしまうと、いくらお金をかけても、ただの「おしゃれな求人情報ページ」で終わってしまいます。
求人票に書かれているのは、あくまで「条件」です。 給与、時間、休日、仕事内容、応募資格・・・。
でも、求職者が画面の向こうで本当に知りたいのは、その裏側にある会社のリアルです。
・この会社は、本当はどんな考え方(理念)を大切にしているのか?
・実際にどんな人たちが、どんな雰囲気で働いているのか?
・未経験歓迎ってあるけど、入社初日は何からスタートするのか?
・職場の人間関係で、ドロドロしたところはないか?
・逆に、どんな人だと「この会社は合わない」と感じてしまうのか?
こうした「空気感」や「本音」は、どれだけ求人票の文字数を増やしても絶対に伝わりません。だからこそ、採用サイトが必要になるのです。
採用サイトは、会社を良く見せるための「お飾り」ではありません。求職者の不安を一つひとつ丁寧に取り除き、納得して一歩を踏み出してもらうための場所です。
よくある失敗が、応募数を増やしたいがために、耳あたりの良い言葉ばかりを並べてしまうケースです。
「働きやすい」「成長できる」「風通しが良い」「未経験歓迎」「若手活躍中」。
でも、これだけでは求職者は何も判断できません。言葉に「具体性」という魂がこもっていないからです。
もし「未経験歓迎」と書くなら、入社後に誰が、どうやって教えるのかのステップを示す。
「若手活躍中」なら、何歳の誰がどんな壁を乗り越えて今リーダーをやっているのかを語る。
「風通しが良い」なら、社長と社員がどんな場面で本音をぶつけ合っているのか、そのエピソードを載せる。
たとえば、社員インタビューのコンテンツもそうです。 未経験で入社した子が、いろんな壁にぶち当たりながら徐々に成長していき、いかにして戦力になっていったか。そのリアルを見せることで、「未経験者でも数年後にはちゃんと戦力になれるんだ」ということが、読み手にまっすぐ伝わります。
そして、その子が今や会社になくてはならない存在になっている姿を見せる。
それだけで、「未経験者歓迎」という文字を100回書くよりも、何倍も強い説得力を持って伝えることができます。そこまで踏み込んで書くからこそ、初めて求職者にとっての「判断材料」になり、自分ごととして捉えてもらえるようになります。
だから、私は社員インタビューで当たり前のことは極力聞きません。
それよりも、 「入社前にぶっちゃけ不安だったこと」 「入社後に一番きつかった仕事と、それをどう乗り越えたか」 「辞めずに続けてこられた理由、今だからわかる面白さ」 を語ってもらう方が、はるかに伝わります。なぜならその泥臭い話の中にこそ、「もし自分がここで働いたらどうなる?」とシミュレーションできる材料が詰まっているからです。
採用サイトは、会社側が「言いたいこと」を自慢する場所ではありません。求職者が「知りたいこと」に誠実に答える場所です。
会社概要を載せるだけでは足りない。 募集要項をきれいに並べるだけでも足りない。 社員の「引きつった笑顔」の写真を載せるだけでも、絶対に足りない。
大切なのは、「その会社で働くことの本当の意味」を伝えることです。
どんな泥臭い仕事をして、誰に喜ばれているのか。 どんな人が向いていて、どんな大変さがあるのか。
そして、その大変さを乗り越えた先に、どんな成長や手応えが待っているのか。
これがしっかり伝わるサイトを作ると、求職者は応募する前に「自分で」判断できるようになります。結果として、入社後の最大の悲劇である「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを劇的に減らすことができるのです。
「合わない人には、応募してもらわない」
応募数だけを追っている人からすれば、少し怖い考え方かもしれません。しかし、採用活動のゴールは「応募者を増やすこと」ではなく、「自社に本当に合う人と出会い、長く活躍してもらうこと」のはずです。
そのためには、良いことだけでなく、会社の「リアル(向き・不向き)」を真っ直ぐに伝える覚悟が必要です。
採用サイト制作とは、デザインの良し悪しを決める前に、徹底的な「言葉の整理」から始まります。
誰に来てほしいのか。 どんな人が今、うちの原動力になっているのか。 この会社で働く、本当の価値は何なのか。 求職者がいま抱えている不安は何か。そして、その不安に私たちはどう答えるのか。
この土台を整理しないまま、いくら綺麗で今風のWebデザインを被せても、誰の心にも刺さらない、中身がからっぽのサイトになってしまいます。
そしてそんな採用サイトが世の中に溢れてしまっているんです。(^^;
採用サイトを作る仕事。それは、求人票をきれいに仕立て直す仕事ではありません。
求職者が人生の選択を間違えないための情報を、会社の中から丁寧にすくい上げ、整理し、伝わる形にして届ける仕事です。
それこそが、私たちが採用サイトをつくる、本当の意味だと思っています。
FAQ
「AIは求人票だけで会社を理解できますか?」
「求人票だけでは採用できないのはなぜですか?」
「広島の中小企業が採用で勝つには何が必要ですか?」
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール