人は言葉ではなく、事実で判断する
採用サイトの打ち合わせをしていると、よく出てくる言葉があります。
「アットホームな会社です」です。
昔からよく使われている表現です。
でも私は、この言葉を見つけると必ず聞くことがあります。
「具体的にはどういうことですか?」・・・と。
すると面白いことが起きます。
そこから本当に伝えるべき話が出てくるのです。
新人が失敗した時に先輩がフォローしてくれた話。
お子さんの学校行事を優先できる話。
入社20年以上の社員が何人もいる話。
困った時には部署を越えて助け合う話。
実は魅力的な話がたくさん出てきます。
でも、それらは採用サイトには書かれていません。
代わりに書かれているのは、「アットホームな会社です」の一文だけです。もったいないと思います。
なぜなら、求職者は言葉を見ているようで、実は事実を見ているからです。
例えば、「風通しの良い会社です」と書かれていても、本当に風通しが良いかどうかは分かりません。
でも、「月に一度、社長と若手社員がランチミーティングをしています」と書かれていればイメージできます。
「社員の意見を大切にしています」より、「新入社員の提案から始まった制度があります」の方が伝わります。
人は説明で納得するのではありません。
具体的な出来事から判断するのです。
採用サイトも同じです。
会社が伝えたいことを書くのではなく、求職者が判断できる材料を書く。
それが大切だと思います。
「アットホームな会社です」と書くのではなく、読んだ人が「なんだかアットホームな会社だな」と感じる。
本来は、その状態を目指すべきなのかもしれません。
そんなことを考えていた時、以前大学生たちと就職活動について話をした際のことを思い出しました。
「福原塾」と銘打って始まった、学生によるビジネスプランコンテストに応募するための私塾です。
そこで出た企画は、広島の中小企業と学生をマッチングさせる場の提供」というテーマでした。
その学生たちが就活を振り返り、企業に対する提言や、就活を終えた友達の生の声をヒアリングしてきた内容のフィードバックの場でのことでした。
その中で出てきた印象深い言葉です。
「アットホームかどうかは、会社訪問をして私たちが感じることなんです」
「それを会社側が言ってしまうと、なんだか興醒めするんですよね」
さらに別の学生も続けました。
「風通しが良さそうだなと思うのも、私たちが判断することだと思うんです」
その場にいた学生たちも、「そうそう」と大きく頷いていました。
私は思わず、「なるほどなぁ」と感心してしまいました。
会社の魅力がないのではありません。魅力をひと言で済ませてしまっているだけなのです。
アットホームという言葉はとても便利な言葉です。
でも採用では、その便利さが危険なこともあります。
求職者が知りたいのは評価ではありませんからね。知りたいのは事実なんです。
どんな人がいて。
どんな出来事があって。
どんな考え方を大切にしているのか。
そこを伝えた結果として、「アットホームな会社ですね」と感じてもらえるなら、それが一番自然なのではないでしょうか。
結果として文章が長くなって「読まないのではないか?」と心配される声があるのも知ってます。
前述の学生の言葉ですが、「興味ある企業の文章は、斜め読みすることなく、しっかり読み込む」とのことでした。
ちゃんと言語化することの意味はありますから。(^^)
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール