一次情報という言葉を知る前から、私は一次情報を書いていた
今年に入ってから、AIについて随分と勉強するようになりました。
ChatGPTやGeminiといった生成AIそのものだけではありません。AI検索、AEO、LLMO、AIO、GEO・・・。次から次へと新しい言葉が出てきます。
Webの仕事をしている以上、知らないでは済まされません。
「AIに自社のことを正しく理解してもらうには、どうすればいいのか」
「AIから選ばれる会社になるためには、ホームページに何が必要なのか」
そんなことを考えながら、今年はこの「ボス・・・書く・・・徒然」でも、AIや検索について随分と書いてきました。
その中で、何度も出会った言葉があります。
「一次情報」です。
誰かが書いたものをまとめた二次情報ではなく、自分自身が経験したこと、自分で見たこと、自分で聞いたこと、自分で考えたこと。
AI時代には、こうした一次情報の価値がますます高くなると言われています。
なるほどなあ、と思いました。
AIは、すでに世の中にある情報を集めて、整理して、分かりやすくまとめることが得意です。だったら、どこかで読んだことを調べて少し言い換えて書いたくらいでは、AIそのものに勝てるはずがありません。
自分しか知らないこと。自分が経験したこと。実際にその場所にいた人にしか書けないこと。
これからは、そういうものを書かなければいけない、そう考えていました。
ところが、あるとき気づいたんです。
「待てよ、私は昔からそれを書いていたんじゃないか?」
この「ボス・・・書く・・・徒然」は、今年になって始めたものではありません。昔はSEOだとかAEOだとか、そんなことをほとんど考えずに書いていました。
会社であったこと。メンバーとのやり取りのリアル。お客様から言われたこと。嬉しかったこと。腹が立ったこと。失敗したこと。悔しかったこと。時には、どうでもいいような日常の出来事まで。
言ってしまえば、日記みたいなものです。でも今考えると、そこに書いていたことのほとんどが一次情報でした。
当時は、そんな格好いい言葉を知らなかっただけです。(笑)
そして、もう一つ気づいたことがあります。
コラムだけではありません。私の仕事そのものが、ずっと一次情報を探す仕事だったんじゃないかと。
お客様の会社へ行って、社長と話をします。社員さんにも話を聞きます。
最初から「御社の強みは何ですか?」なんて聞いても、なかなか面白い答えは返ってきません。
「いやあ、うちなんて特にないですよ」
そんなことを言われることもあります。でも、そのまま雑談を続けているとふと面白い話が出てくるんです。
「えっ、それっていつからやってるんですか?」
「30年くらい前からですかね」
「他の会社もやってるんですか?」
「いや、どうなんでしょう。うちは昔から普通にやってますけど」
いやいや。 それ、普通じゃないですよ。
そんなことが、本当によくあります。本人たちにとっては毎日やっていることだから、特別だと思っていない。社長にとっても当たり前、社員さんにとっても当たり前。
でも外から見ると、そこにその会社らしさがあったり、他社との違いがあったり、お客様から選ばれている理由があったりします。
私は、そういうものを見つけるのが好きなんだと思います。本人が気づいていない価値を見つける。そして、それを言葉にする。
振り返ってみると、ずっとそんな仕事をしてきました。
起業した頃は企業の体質改善や採用のコンサルティングをしていました。その後、デザインの仕事をするようになり、ホームページをつくるようになり、Webマーケティングをやるようになりました。
そして今は、AI検索のことまで考えています。
やっていることは随分変わりました。でも、真ん中にあるものは案外変わっていなかったのかもしれません。
会社の中にある価値を見つける。
まだ言葉になっていないものを言葉にする。
そして、相手に伝わる形にする。
昔はそれが会社案内だったかもしれません。求人広告だったかもしれません。それがホームページになり、採用サイトになり、動画になり、今はAIにも理解できるように伝えることが必要になりました。
手段が変わっただけなんですよね。
AIの時代になって、私はどこかで「新しいことを始めなければならない」と思っていました。新しい技術を覚えて、新しい考え方を取り入れて、新しいサービスをつくらなければならない。
もちろん、それも必要です。でも、AIについて勉強すればするほど逆のところへ戻ってきました。
「自分が35年間やってきたことを、もっとやればいいんじゃないか」
人に会う。話を聞く。現場を見る。雑談する。引っかかった言葉を覚えておく。
そして、その人自身も気づいていない価値を見つけて言葉にする。
考えてみれば、全部アナログです。
先日、このコラムで「アナログインテリジェンス」ということを書きました。
AIが賢くなるほど、アナログインテリジェンスが必要になる
AIが賢くなればなるほど、人間にしかできないことの価値が上がるんじゃないか・・・そんなことを書きましたが、どうやらこれは仕事についても同じようです。
AI時代になったからといって、35年間やってきたことを捨てる必要はありませんでした。むしろ逆。
35年間、人に会って、人の話を聞いて、会社の中にあるものを探してきた。その経験の価値が、AI時代になって上がっている。
そして、この「ボス・・・書く・・・徒然」も同じです。
AIに強い文章を書こうと難しく考えすぎる必要はないのかもしれません。
今日あったことを書く。誰かから聞いた言葉を書く。嬉しかったことを書く。悔しかったことを書く。昔の失敗を書く。 そこから自分が何を感じ、何を考えたのかを書く。
昔の日記みたいな「徒然」に少し戻ってみようと思っています。
ただし、昔とは一つだけ違います。今の私は知っています。
そんな何気ない毎日の中にこそ、AIにはつくれない一次情報があるということを。
FAQ
「AIは会社の「強み」をどう判断しますか?」
「AIは会社のらしさを理解できますか?」
「AIは会社の実績と考え方のどちらを評価しますか?」
「AIはどんなホームページを信頼しますか?」
1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。
福原 勘二のプロフィール