広島の採用担当者・経営者のための設計論。
テクニックではなく、本質から。
AIに合わせる前に、人を見る。
「AIに選ばれるには、どんな文章を書けばいいですか」。
最近、そんな相談をよくいただくようになりました。
僕は社内のAI活用推進を担当している、いわば「AI寄り」の人間です。
その僕が自社サイトでAI検索を調べ、試してきて見えたのは、少し逆説的なことでした。
いちばん大事なのは、AIを詳しく見ることではなかったのです。
「AIが理解しやすいように」への違和感
「検索エンジンが理解しやすいように」「AIが読み取りやすいように」。
制作の相談で、そんな言い回しをよく耳にします。
誤解のないように言うと、僕はAI懐疑派ではありません。むしろ逆です。
社内ではAI活用環境の整備を担当していて、勉強会を開いたり、制作フローへのAIの組み込みを進めたり、自分でも毎日AIを使い倒したり。たぶん、社内でいちばんAIを使っている人間です。
その僕でも、AEO、GEO、LLMOと新しい対策用語が出てくるたびに、少し身構えます。
「これさえやれば選ばれる」という話が、また始まる気がするからです。
でも、検索もAIも、そんなに単純ではありません。
「機械に最適化されたページ」を探しているわけではないからです。
だからあえて言います。一番大事なのは、AIを見ないこと。
見るべきは、その先にいる「人」です。
数字で見る、AI検索のいま
少しだけ、数字の話をさせてください。国内の調査で、こんな数字が出はじめています。
- 検索に生成AIを使う人は約4割まで増加。20代では半数を超えた(2026年2月時点)
- 検索した人の約4人に1人が、どのサイトも開かずに疑問を解決している
さらに先を行く海外の分析では、AIと対話しながら調べる「AI Mode」の利用時は、9割以上が外部サイトを一度も開かずに完結するという報告もあります。日本でもAI Modeの提供は始まっていて、同じ方向に進んでいます。
検索結果に表示されても、クリックされない。
数字だけ見ると「もうAIに合わせて書くしかない」と思えてきます。
でも、毎日AIに訊いている一人のユーザーとしては、実感は逆なんです。AIの回答だけで済ませるのは、どうでもいい調べ物のとき。お金を払う、仕事を頼む、会社を選ぶ。そういう判断の前には、必ず引用元のサイトまで確かめに行きます。
実際、生成AI経由でサイトに来た人は、従来の検索経由より問い合わせにつながりやすいという調査報告も出はじめています。訪問の数は減っても、確かめに来る人の本気度は上がっているのです。
つまり、変わったのは「入口」です。最後に人を動かすのは、たどり着いた先のページの中身。
AIに向けて小細工をしても、その先の人が動かなければ、AIも動きません。
Googleも「基本は変わらない」と言っている
これは僕の個人的な感覚ではありません。
Googleが2026年5月に公開した生成AI検索向けの公式ガイドでも、AI OverviewsやAI Modeに従来のSEOの基本がそのまま当てはまると明言されています。
そこで特に重視されているのが「独自で、価値があり、専門知識にもとづく、ありふれていないコンテンツ」。AIの時代になっても、人にとって役立つ情報を作ることがいちばん大事だという考え方は、変わっていないのです。
ChatGPTやPerplexityも、考え方の土台は同じです。仕組みはそれぞれ違っても、質問への適合性や、情報源としての有用性をもとに、回答に使う情報を選んでいます。引用されやすいのは、読者の疑問に具体的に答えていて、回答の根拠として使いやすいページです。
だからSEOもAEOも、やるべきことの土台は同じです。人にとって価値ある情報を、正直に、具体的に届ける。突き詰めれば、これに尽きます。
見るべきは「人」と「自社にしか書けないこと」
では、何を見て書けばいいのか。答えはシンプルで、目の前の「人」です。
「誰の、どんな課題を、どう解決できるのか」を、読んだ人が迷わず納得できる言葉にする。それが出発点になります。そしてもう一つ大事なのが、自社にしか書けないことを書くことです。
たとえば「うちは丁寧な仕事をします」と書いても、誰の心も動きません。どこの会社も同じことを書いているからです。
けれど「この業種のお客様から実際にこういう相談を受けて、現場でこう判断した」という具体は、その会社にしか書けません。一般論はいくらでも替えがききますが、現場で得た一次情報には替えがないのです。
人もAIも、「替えがきく情報」はわざわざ選びません。あなたの会社の現場でしか得られない具体こそが、それだけで強い武器になります。
第二の脳で気づいた、AIの答えは「素材」で決まる
実はこれ、僕が仕事のなかで毎日実感していることでもあります。
僕は日々の学びや作業記録をメモツール(Obsidian)に溜めて、AIと組み合わせて「第二の脳」として使っています。過去の記録をAIに引き出させながら仕事をする、社内のナレッジ運用の実験でもあります。
使い込んでわかったのは、AIの答えの質は、渡してある素材の質で決まるということです。記録が溜まっている領域なら、AIは驚くほど具体的で役に立つ答えを返します。ところが素材がない領域では、どれだけ上手に質問しても、立派な一般論しか返ってきません。
AI検索も、構造はまったく同じです。あなたの会社について、AIが参照できる一次情報がWeb上になければ、AIはあなたの会社を一般論でしか語れません。逆に、現場の具体や判断がWeb上に置いてあれば、AIはそれを素材として使えます。
AEOの実体は、AIを出し抜くテクニックではなく、AIが引用できる素材を、Webに置いておくこと。社内でAIを使うときも、AI検索に選ばれたいときも、結局は同じなのだと思います。
テクニックは、中身を届けるためにある
ここまで読んで「じゃあ構造化データもFAQも要らないの?」と思われたかもしれません。
そうではありません。
検索エンジンが取得しやすいページにすること。内容に合った構造化データを実装すること。表示速度や操作性を整えること。どれも大切な施策です。ただ、こうした整備を入れただけでAI検索に引用されるわけではない、というのが正直なところです。
白状すると、僕はエンジニアなので、こういう話をしていても気づけばコードのことばかり考えています。文章より先にマークアップに手が伸びる。正直、そっちのほうが「やることが明確」で楽なんです。
けれど構造化データは、ページに書かれている情報の意味を検索エンジンに伝えるためのものです。書かれていない価値まで作ってくれるわけではありません。FAQも、実際にお客様から聞かれたことに、条件や例外まで含めて答えて初めて、中身のある情報になります。
象徴的な出来事もありました。Googleは2026年5月、FAQリッチリザルト(検索結果でFAQを目立たせる表示)を完全に終了しています。「マークアップを入れるだけ」で得られていたおまけは、もうありません。
しかも、人がAIに投げる質問は、どんどん具体的になっています。「広島 ホームページ制作」と単語で検索していた人が、いまは「広島で採用サイトに強くて、公開後の運用まで相談できる会社はある?」と文章で訊く時代です。具体的な問いに応えられるのは、具体的に答えたページだけです。
技術は必要です。ただ、それは中身の代わりではなく、中身を正しく届けるためにあります。テクニックは、中身があって初めて生きる。僕自身、順番を間違えないよう、何度もここへ戻ってきます。
試して分かったことと、まだ言えないこと
僕たちは自社サイトで、40ページを超えるFAQ、全8章の採用サイトガイド、そして構造化データの実装と、いわゆるAEOの施策にひと通り取り組んできました。では、それでAI検索からの引用は増えたのか。
正直に言うと、まだ因果関係を証明できるほどのデータはありません。ある質問で自社の記事が表示されても、時期やサービス、質問の仕方によって回答は変わります。一度引用されたことだけを根拠に「この施策が効いた」とは言えません。
正直、ここで「効果がありました」ときれいにまとめたほうが、記事としては断然格好がつきます。何度かそう書きかけて、そのたびに手を止めました。分かっていないことを、分かったふりでは書きたくないからです。
そのうえで、続けるなかで実感していることはあります。
- お客様から実際に聞かれた質問を起点にすると、誰のための記事かがぶれない
- 自社の経験や判断を書くと、一般論だけの記事にならない
- 技術的に整えるだけでは、曖昧な中身は具体的にならない
これはAIの評価基準を証明した結果ではなく、自分たちで作り、公開し、読み返してきたなかで得た、現時点での結論です。
計測の環境も整いはじめました。2026年5月には、アクセス解析ツールのGA4に「AIアシスタント」という流入チャネルが追加され、ChatGPTやGeminiなどからのアクセスが自動で分類されるようになっています。自社での実測はまだこれからですが、感覚ではなく数字で語れる日は、そう遠くないはずです。
「AIに選ばれる」=「人に選ばれる」
結局のところ、「AIに選ばれる」ことと「人に選ばれる」ことは、同じです。精神論に聞こえるかもしれませんが、数字と実感の両方から出した、現時点の僕の結論です。
特別なテクニックを探す前に、たった一つだけ試してみてください。先週、お客様に実際に聞かれた質問を一つ思い出して、その答えを、ごまかさず、具体的に、自分たちの言葉で書く。たったそれだけです。
それを一つずつ積み重ねた先に、人にもAIにも見つけてもらえる会社があります。
僕たちが広島の中小企業向けにまとめたよくある質問や採用サイト完全ガイドも、その積み重ねの途中です。AI検索時代のWebについて一緒に考えたい方は、お気軽にご相談ください。
2003年の冬。不思議な縁でカンドウコーポレーションと出会う。全く入社予定のない研修生としてスタートするも、独学で学び続ける一生懸命さを買われ、2004年4月よりWeb Designerとして正式入社したシンデレラボーイ。以来、デザインからシステム構築までを一人でカバーするフロントエンドエンジニアとして活動。新しい技術やAIツールも積極的に取り入れながら、社内のAI活用を推進している。
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