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強みがある会社ほど、売れなくなる理由 (STP編)

前回のコラム、「売れない会社」は、誰を見ているのか? (3C編) で3Cについて触れましたが、今回はSTPについてです。
馬鹿の一つ覚えの如く、私は3CとSTPばかり使ってますが、PEST分析でも、5フォースでもSWOTでもなんでもいいので、極めることが重要だと思います。

「うちは強みと言えるものがないんです」

経営者の方から、よく聞く言葉です。

でも実際に話を聞いてみると、強みがない会社というのは、ほとんどありません。
むしろ逆です。

多くの会社は、ちゃんと強みを持っています。

技術がある
経験がある
品質が高い
対応が丁寧
実績もある
社員も真面目

問題は、「強みがないこと」ではありません。
問題は、「強みの使い方」です。
そして実は、強みがある会社ほど、売れなくなってしまうケースがあります。

なぜか。

強みに自信があるからです。いえ、自信があるのはいいことなんですけどね。

自信があるから、その強みを説明し始める。
でも、顧客はその強み自体には、そこまで興味がありません。
興味があるのは、「自分にどう関係あるのか」です。

例えば、「高品質です」、これは、多くの会社が言います。
でも、高品質と言われても、顧客には分からない。

何がどう高品質なのか。
それによって何が起きるのか。

そこが見えないからです。

つまり、強みが、ただの説明になってしまっている。

ここが問題です。

マーケティングには「STP」という考え方があります。

・Segmentation(市場を分ける)
・Targeting(誰を狙うか決める)
・Positioning(どういう存在として認識されるか決める)

有名なフレームワークです。私は上述の通り、馬鹿の一つ?二つ?覚えの3CとSTPで戦略を練ります。

でも現場では、この「T」が抜けている会社が本当に多い。
つまり、「誰にとっての強みなのか」が定義されていない。

街の電気屋さんが潰れない理由。
エディオンやヤマダデンキ、ケーズデンキなど、大手がひしめき合って価格を下げてます。
なのに街の小さな電気屋さんは潰れてません。

それはまさにSTPで考えると納得いきます。

・Segmentation 電気屋さんがあるエリア周辺
・Targeting 狙うはシルバー層
・Positioning いつでも行きます!

「電球一個でも、ご用命があればすぐ駆け付けます」
「もちろん電球の取り替えもいたします」
「故障したときは、すぐに駆け付けます」
「場合によってはお部屋の模様替えもお手伝いします」

絶対に大手電気屋ではやらないことを、やり続けているんです。

ターゲティングとポジショニングがハマると大手相手に喧嘩を挑めるし、勝てるんです。

でも、「いつでも行きます!」が全員に刺さるわけではありません。
私は世間的にはおじいちゃんですが、まだ自分で電球交換もできます。(笑)

つまり、強みとは絶対的なものではない。
「誰にとって価値になるか」によって変わるものです。

強みは弱み。弱みは強み」これはマーケティングでは本当によく起きます。

例えば、「対応が遅い」は弱みに見えるかもしれません。
でも、「一件一件を丁寧に見てくれる」と感じる人もいる。

逆に、「対応が早い」は強みに見えます。
でも、「流れ作業っぽい」と感じる人もいる。

つまり、強みと弱みは絶対ではない。
誰から見ているかで変わるんです。
にも関わらず、多くの会社は、「うちの強みはこれです」で止まってしまう。

だから伝わらない。
さらに厄介なのは、
強みが多い会社です。

あれもできる。
これもできる。
全部対応できる。

一見すると良さそうです。

でも顧客からすると、何が一番得意なのか分からなくなる。
つまり、特徴が増えるほど、印象が薄くなる。

これは本当によくあります。

誰にでも売ろうとすると、誰の記憶にも残らなくなる。
だから、強い会社ほど、実は捨てているんです。

戦略とはやらないことを決めること、です。

「何をやるか」ではなく、「何をやらないか」を決めることです。

全部を取りに行こうとすると、結局、誰の記憶にも残らなくなる。

だから強い会社ほど、実はかなり潔く捨てています。
そう、全部を取りにいかない。

誰に、何を、どういう価値として届けるのか。そこを決めています。

街の電気屋さんは若い人たちは捨ててます。相手にしてない。
狙うは完全にシルバー層だけです。
ポジショニングである「いつでも行きます」が刺さる人こそがターゲットです。
それ以外はお店に来たら対応するけど、というレベル。

まさに潔いくらいに捨ててます。

これは採用でも同じです。

「未経験歓迎」
「若手活躍中」
「働きやすい」
「成長できる」

全部書く。

でも結果、誰にも刺さらない。

なぜなら、「誰向けか」が見えないからです。

人は、「自分に関係ある」と思えた時に初めて動きます。

つまり、強みとは、持っていることではなく、相手に意味として伝わることが重要なのです。
そしてAI時代になると、この傾向はさらに強くなります。

AIは、情報量だけではなく、

・誰向けなのか
・何が違うのか
・どんな価値があるのか

を見ています。

AIもまた、「この会社は、誰に対して、どんな価値があるのか」を理解しようとしています。

つまり、STPの曖昧な会社は、AIにも曖昧に映る

逆に、「この人には、この会社」が明確な会社ほど、AIにも推薦されやすくなるのです。

これはAEOにもかなり近い考え方です。

結局、強みとは、持っている特徴ではありません。
誰かの不安や悩みに対して、「だからこの会社なんだ」と思える理由です。

そこまで設計されて、初めて強みになるのだと思います。

先ほどの街の電気屋さんの話は、私が広島修道大学で非常勤講師をしていた時にしていた話です。
それ以降、マーケティングをセミナーで話す時に、必ず使用しているネタです。

大学生たちはおじいちゃん、おばあちゃんの感覚は分からないものの、実の祖父、祖母を思い浮かべていました。

彼ら彼女らは自分の住んでるエリアに、小さな電気屋さんがあることすら知りませんでしたけどね。(笑)

EDITOR

福原 勘二
  • 代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)
  • エグゼクティブ・ビジネスデザイナー
  • 兼ストラテジックパートナー

1961年生まれ。広島県広島市出身。広島修道大学中退後、リクルート、カーディーラーの採用・教育担当を経て、企業内の体質改善・採用・教育コンサルタント会社として、1991年2月有限会社オフィスCAN(現 株式会社カンドウコーポレーション)を設立。その後思い切った業態転換により、クリエイティブファームとしてのポジションを確立する。

福原 勘二のプロフィール
082-509-3322 10:00 - 19:00

まず、「誰が嬉しいのか?」を
一緒に考えることから始めます。

表面的な症状ではなく、その奥にある構造から一緒に考えます。
ウェブ・デザイン・言語化・伴走。手段はその後についてきます。

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